きっかけは"食べる"ということから①

庭のあじさいが雨に濡れて梅雨を彩ってくれています。
しばらくぶりの更新となりました。
今日は食べるということについて
みなさんと考えたいみたいと思います。
長くなってしまったので、数回に分けて投稿していきますので、お読みいただきコメントなどいただけたら嬉しいです。
1.今日の目的
2.介護現場の食の現状
3.食の順序
4.私の考え方を変えるきっかけと
   自身の体験
5.家族の要望
6.介護現場のこれから
7.理想を実現するためには?
8.チームの中心はだれ?

1.今日の目的

このサイトのご挨拶文にも、いつまでも口から食べることに寄り添いたい…などと書いているのですが、ふと、"いつまでも"とは、いつまで??
と、考えたりするのです。
そもそも食べるという行為には、いくつかの意味があります。
・身体の機能、生命の維持のため
・生きる意欲に繋がる
・生活のリズム
・コミュニケーションの場
車がガソリンがないと走れないように、人は食べ物を食べて栄養素を補給して生命を維持しています。また、皆さんも何かをがんばったご褒美に美味しいものを食べたり、好きなものを食べるためにがんばったりと、食べるということは生きる意欲に繋がるものでもあります。
当たり前の食べるということを、今日は皆さんに投げかけてみたいと思うのです。

2.介護現場と食の現状

"医療や介護の世界で仕事を続けて来た人"にとっては、噛めなくなったら刻み食、ムセるようになったら、とろみをつける?ミキサー食?ゼリー食にする?と考え、食べる量が減って来たり、熱発を繰り返すようになると、口からの食事はもう危ないから次は胃ろう?中心静脈栄養?などと考えるのではないでしょうか。
もしくは、老衰だから仕方ない、カラダが自然に枯れていく準備をしてるんだ、などと、考えるかもしれません。
だけど、"何も知らない人"だったらどうでしょうか?食べられなくなったら、『どんなものだったら食べられるだろうか?』『どうやったら食べてくれるだろうか?』『食べさせなければ死んでしまうのでは?』と、考えるのではないでしょうか。

介護施設では、1日の生活のスケジュールが決まっています。
それは、人が生活する一般的なリズムを作るうえでも必要なことですし、複数の方が生活する場所ですから、着替え・トイレ・お風呂・食事・服薬など、1つひとつの行為に関わる職員を配置するため、時間を決めて計画的に行なう形を取らざるを得ません。
介護施設で働く職員には、これらの業務を行なううえでマニュアルがあります。
マニュアルは、安全で適切な介助ができるような内容で作られています。
そして、1日のスケジュールに複数のスタッフを当てはめてシフトを作って行きます。
多くの場合、シフトで当てはめられたスタッフが、このマニュアルに従えば、スケジュール通りに1人ひとりの介助ができ、安全で穏やかに日々を過ごしていただくことができます。
しかし、人間は機械ではありませんので、すべてがマニュアル通りに行くわけではありません。

3.食の順序

食べるということにも、だいたいの流れがあります。
一般的な成人が食べている状態の食事を、病院や施設では"常食"または"普通食"などと呼びます。箸などの食具を使えることが前提で、大きさ固さ共にどちらかといえば見栄え・食感を重視した仕上がりになっています。何かの都合で食具をうまく使えなくなった方には、ひと口大などにカットするお手伝いをすることもあります。固いものが食べにくくなると、普通食を包丁で細かく刻んだ"刻み食"、さらに滑らかにトロトロになるまでミキサーをかけた"ミキサー食"は、噛むことができなくても飲み込むことができれば、口からの食事を続けることができます。他にも、滑らかなムース状にした"ソフト食"など、病院や施設では、その方の食べる機能に合わせて、さまざまな食事の形態を選んで提供していきます。
多くの方は、身体の機能が低下してくると、施設から言われるままに、食事の形態を変えることを受け入れ、また、だんだんと食べられなくなっていくことも受け入れて行きます。
私たち栄養士も、その時その時に合う食事の形態や、量、足りない場合の栄養補助食品の提案をして、出来るだけ安全に食事の楽しみを感じることができるようにサポートしていきます。私自身、これが一般的な流れだと思っていました。

しかし、これまでの流れを考え直すきっかけとなる出来事がありました。
次回は、ある入居者様とそのご家族との出会いからたくさんのことを学ばせていただいたことを、自身の体験と合わせて書きたいと思います。

食べる口を作る swallow

管理栄養士の木富れい子です。 いつまでもおいしく『口から食べたい』 という思いに寄り添い、 『食べる口を作る』取り組みをしています。 加齢により、食べる機能が低下して、 おいしく楽しいはずの食事が、 “誤嚥性肺炎” “窒息”など、 命を奪う悲しいものになることもあります。 摂食・嚥下にかかわる管理栄養士として今までの経験で得たこと、日々の気付きなどを 発信して行きたいと思います。

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