唾液のはなし 実践編

前回は、唾液のはなし 知識編でした。
今回は、明日から実践できるよう具体的に
お伝えしたいと思います。

●唾液を分泌させるには
●いつやるのが良いか
●すでに乾燥が気になる場合
●口腔保湿用ジェル
●どこで購入すれば良い?
●まとめ

【唾液を分泌させるには】

・唾液腺マッサージ

耳の下にある耳下腺、顎の下にある顎下腺、舌の下にある舌下腺を意識してマッサージします。
耳下腺は、人差し指・中指・薬指の3本を使って耳たぶの下あたりを少し圧を加えながらクルクルとマッサージしたり、耳を手のひらでふんわり包んで、大きく円を描くように動かします。顎下腺は、顎の下をグッと押し上げます。舌下腺は、口唇を舐めるように舌を回したり、あっかんべーをします。
このように顔全体と口の中を動かすことで、唾液腺が刺激され、唾液の分泌を促します。

・口腔ケアをする

口腔ケアには、口の中の汚れをきれいにするだけでなく、口の中を動かして唾液腺を刺激して唾液を分泌させるという役割もあります。特に食事の前に口腔ケアをすることにより、口の中をきれいにすることはもちろん、唾液の分泌を促し、食べる環境を整えることができます。

★ご注意ポイント★
介護施設では、うがいが難しい方の口腔ケアにウェットティッシュタイプのものを使っていることが多いと思います。
ここが、ご注意ポイント‼︎
この方法は手軽に汚れを拭き取ることができますが、口腔内の水分も一緒に拭き取ってしまうので、口腔内を乾燥させてしまいます。
また、アルコールを含むものもあるので、
乾燥を進めてしまうこともあります。
口の中が乾燥している方で、うがいが難しい方の口腔ケアには、私はウェットティッシュタイプではなく、スポンジブラシや球状ブラシで行なうことをお勧めしたいです。

・水分摂取する

 水分不足の時は、唾液の分泌も減ります。
唾液は1日に、1〜1.5リットル分泌されるので、それと同じくらいの水分を摂る必要があります。
口の中が乾いたなと感じる前に、小まめな水分補給をしましょう。
レモンを入れると、レモンの酸味で唾液腺が刺激されますし、爽やかな香りでリラックス効果も期待できます。
リラックスすると、副交感神経が働き、サラサラな唾液が出てきます。

・良く噛む。

噛むことは、口を動かし唾液腺を刺激することとなり、唾液の分泌を促します。
一般的に30回噛むと良いと言われます。
みなさんは何回噛んで食べていますか?
30回までとはいかなくても、意識的に良く噛むことを心がけましょう。
また、ガムを噛んでも良いでしょう。
ガムの味で味覚が刺激されることも、唾液を出すことに繋がります。
ガムはキシリトール 100%のガムを選ぶと良いでしょう。

【いつやるのが良いか】

唾液腺のマッサージは、いつやっても良いです。テレビを見ながら、お風呂に入りながらリラックスして行なうと良いです。
また、食事の前に行なうことで、口の中の食べる準備ができます。口の中の乾きが気になる方や、近ごろむせる、飲み込みがつかえるような気がする方は、食事の前に行なうと良いでしょう。

【すでに乾燥が気になる場合】

・服用中の薬の影響で、唾液が出にくくなる場合があります。気になる方は今日かかりつけのお医者さんや薬剤師に相談しましょう。
・病気により、唾液の分泌が少なくなる場合もあります。その場合もかかりつけのお医者さんに相談してください。
・口腔内を潤すための保湿剤を使う。
ジェルタイプ、ミストタイプ、オイルなど、良いものが増えて来ました。
ドラックストアでも買えるものもありますし、インターネットでも購入できます。
ただし、アルコールを含むものは、乾燥を進めてしまうため、配合されている成分を良く見て購入してください。

【口腔保湿用ジェル

保湿用ジェルといってもたくさん種類があります。私のオススメの口腔保湿用ジェルの使い方をご紹介します🎶


オーラルピース
ゆるめなジェルなので、とても伸びが良いです。梅のさわやかな酸味とほのかなミントの香りで清涼感が気持ち良く、歯みがきをした満足感を感じることができます。
口腔ケアの前に、オーラルピースを指につけて、口唇、口唇の裏、頬の内側、舌、上顎に塗っていきます。
そうすると、粘膜が突っ張らないので、
滑らかに口腔ケアをすることができます。
痛みを感じて、口腔ケアを拒否する方もいらっしゃるので、このように保湿ジェルを塗ってみると、受け入れていただけるかもしれません。歯ブラシやスポンジブラシ、くるリーナに付けて口腔内をきれいにした後、仕上げに指で再びオーラルピースを同じ箇所に塗りながら、口腔内のストレッチも一緒に行なえて一石二鳥で便利に使えます。滑りが良いので口腔ケア初心者の方でも、もたつかずスムーズにワンランク上の口腔ケアを行うことができますよ!歯磨き粉と違い、自然由来のものななので、うがいができずに飲み込んでも安心です。
ウェットキーピング
オーラルピースより、粘稠性が高いジェルです。アップルとパイナップルの味があります。香りも良く、甘い味があるので、
食事ができない方の口腔ケアに使用したところ、食べる意欲を引き出すキッカケになり、
拒否されがちな口腔ケアや食べるトレーニングにも前向きに取り組んでいただけたこともありました。
使い方はオーラルピースと同じく口腔内に塗るのですが、ウェットキーピングは、垂れずにしっかり粘膜に付いてくれるので、もちが良く、寝ている間や次の食事の時間まで、乾燥から粘膜を守ってくれます。
痰や粘性の強い唾液がカピカピにこびりついた口腔内をきれいにする時にも、ウェットキーピングを塗っておくと、ふやけて取りやすくなります。

【どこで購入すれば良い?】

ドラッグストアでも購入することができるものも増えてきましたが、多くはインターネットの通販サイトや口腔ケアグッズのショップで購入することができます。
オーラルピースは、ロフトやURBAN RESEARCH DOORS、東急ハンズなどで購入することができます。
良いなと思っても、すぐに手に入らないのがもどかしいところですね。
メーカーさん!もっとみなさんが買い求めやすくしていただけたら嬉しいです!

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【まとめ】

1番良いのは、カラダが本来持っている力を引き出して、グッズに頼らなくても唾液が自然に出るように、顔や口を動かすこと、良く噛むことを心がけたいですね。
でも、すでに口の中の乾燥が気になって困っている方は、今日オススメした口腔保湿ジェルを使ってみていただきたいです。
リラックスできる場所で、指やスポンジブラシにジェルを塗って、無理のない範囲で優しくお口のストレッチをしていくと、サラサラの唾液が出てくると思います。
今年は暑くなるのが早いですね。
こまめな水分補給も忘れずに、しっかり食べて、暑い夏を乗り切りましょう。

食べる口を作る swallow

管理栄養士の木富れい子です。 いつまでもおいしく『口から食べたい』 という思いに寄り添い、 『食べる口を作る』取り組みをしています。 加齢により、食べる機能が低下して、 おいしく楽しいはずの食事が、 “誤嚥性肺炎” “窒息”など、 命を奪う悲しいものになることもあります。 摂食・嚥下にかかわる管理栄養士として今までの経験で得たこと、日々の気付きなどを 発信して行きたいと思います。

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