唾液のはなし 知識編

もしも口の中に唾液が無くなってしまったら⁉︎きっと食事もおいしくないし、ヒリヒリ痛くて大変です。
カラダを守り、おいしく食べるために欠かせない。今日はそんな唾液のはなしをしたいと思います。

【3つの唾液腺】

口の中を潤す唾液は、耳下腺、顎下腺、舌下腺という3つの唾液腺から分泌されます。

【唾液は2種類ある】

唾液には、サラサラした唾液とネベネバした唾液の2種類があり、それぞれ違うはたらきがあります。

【唾液のはたらき】

唾液は1日に、1〜1.5リットル分泌されています。常に新しい唾液が出て、口の中を洗い流してくれているというイメージです。

ひとつ目のサラサラの唾液は、主に耳下腺から分泌されます。副交感神経によってコントロールされているため、カラダがリラックスしている時に分泌されます。
楽しい雰囲気の中、よく噛んで食べると、副交感神経がはたらき、サラサラな唾液がたくさん出て、消化を助けると同時に、唾液で分解された味の成分を、私たちの舌にある味を感じる細胞(味蕾)に届けてくれるので、より美味しさを感じることができます。

ご飯を噛んでいると甘みを感じます。
唾液にはアミラーゼというデンプンを分解する消化酵素が含まれています。
アミラーゼは、お米のデンプンを糖まで分解するため、甘みを感じるのです。
まさに口の中で消化が始まっているということですね。良く噛んで食べると胃への負担も減らすことに繋がります。
また、唾液中には抗菌作用がある成分も含まれているため、カラダを有害なものから守ってくれる役割もあるのです。
もうひとつの、ネバネバの唾液は舌下腺から多く分泌されます。交感神経によってコントロールされているため、緊張している時やイライラしている時に分泌されやすくなります。緊張すると口の中がネバつき、乾いたように感じるのはそのためです。
ネバネバの唾液にもはたらきがあり、熱いものや骨などの固いもので口の中の粘膜が傷つくのを防いだり、保湿したり、細菌を絡めて痰として出し、体内への侵入を防いだりする大切な役割があります。

【唾液が出ないとどうなる?】

・歯周病、むし歯になりやすくなる
・口臭の原因になる
・舌苔の原因になる
・味覚の低下
ムセる、飲み込みにくくなる
・話しづらくなる
今回は特に、唾液のはたらきとして、
唾液が出ないと『ムセる、飲み込みにくくなる』について説明したいと思います。
私たちは口に入れた食べ物を、飲み込める形になるまで、歯で細かく噛み砕きます(咀嚼)実はそれだけではなく、奥歯でさらに滑らかなるようにすり潰し、唾液と混ぜてひとつのまとまりを作っています(食塊形成)
ツブツブしたものも唾液と混ざり、いろいろな物性のものも唾液がまわりをコーティングして、舌の奥から喉へ滑るように送り込みやすくしています。
唾液が不足すると、噛み砕いた食べ物をまとめることができずに、口の中のあちこちにバラバラに散らばってしまいます。
そうなると、ひとつの塊にできなくなり、噛み砕いたカケラがちょっとした拍子にポロリと喉の奥に入り、ムセる、ということになります。
また、常に口の中から喉の奥も乾燥しているため、滑らかに通過できなくなり、口の中や喉のまわりに張り付いたり、突っかかる感じがして、飲み込みにくい、と感じるようになるのです。

当たり前のように、いつも口の中を潤してくれている唾液は2種類あり、たくさんの役割があります。この2種類の唾液がバランスよく分泌されることで、カラダを健康に保つことができます。
唾液のはたらきを知ることで、あらためて、人のカラダの神秘、口から食べるということの素晴らしさを感じていただけるのではないでしょうか。
お食事の時に、みなさんで唾液のはなしで盛り上がっていただけたら嬉しいです。

さて、唾液のはなし 知識編はここまで。
次回は、実践編として、唾液を分泌させるにはどうしたら良いか。おススメのケアグッズなどをご紹介します。

食べる口を作る swallow

管理栄養士の木富れい子です。 いつまでもおいしく『口から食べたい』 という思いに寄り添い、 『食べる口を作る』取り組みをしています。 加齢により、食べる機能が低下して、 おいしく楽しいはずの食事が、 “誤嚥性肺炎” “窒息”など、 命を奪う悲しいものになることもあります。 摂食・嚥下にかかわる管理栄養士として今までの経験で得たこと、日々の気付きなどを 発信して行きたいと思います。

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