▪️はじめに自己紹介を兼ねて

新しい元号の令和が始まりましたね。


私は、平成元年に社会人となり、
栄養士として働き始めました。
平成の31年間はまさに、個人的にも
医療介護の現場においても、激動の時代
だったと言ってもオーバーじゃないくらい、
夢中で駆け抜けました。
元号が変わる機会に、自分が歩んできた事を振り返った方もいらっしゃると思いますが、私も令和初日にサイトを立ち上げ、
新たなスタートを切るとともに、
ここまでの振り返りをしてみたいと思います。
そして、このサイトを通じて伝わったら良いという思いを綴りたいと思いますので、お付き合いいただけたら幸いです。

▪️新卒からの話

現在の仕事に直接繋がらないのですが、
自分の仕事を振り返る上では、なくてはならないはじめの1歩の話をしたいと思います。
平成元年3月に短大を卒業。4月から大手の
給食委託会社に就職し、千葉市内の病院に
配属されました。
私が担当したのは【調乳】で、
NICUと産科、小児科の赤ちゃんのミルクを
作る仕事です。
実はこの調乳、栄養士の仕事の中でも、
あまりメジャーではないみたい⁇なのです。
ネットで調べてみても、求人情報は出てくるのですが、どんな仕事をするかということは書いてあるところがないので、経験者の私があえて触れたいと思います。
栄養士の活躍の場を調べてる方、学生さんもいるかもしれないですしね。

話を戻しましょう…
生まれつきの病気があったり、産まれたばかりの抵抗力のない赤ちゃんのミルクを作るのですから、衛生、濃度の計算、正確な希釈など、毎日神経を張り詰めていました。
さまざまな病気を持った赤ちゃんのために、ミルクの原料を替えたり、成分に特殊な調整がされたミルクがあり、原料や加工により、独特なにおい・溶けにくい、などそれぞれ
特徴があります。
患者さん1人ひとりのミルクの内容については、食事䇳(しょくじせん)という指示伝票にて栄養科にオーダーが来ます。

食事䇳には以下の①〜④が記載されます。
①ミルクの種類
②何%の濃度
③1日に何ml必要か
④1日何回飲むか

そのオーダーに応じて、
【ミルクの粉の量を計算→計量→純水を沸かす→粉を溶く→哺乳瓶に分ける→フタをする→チラーという装置で急速冷却→病棟へ運ぶ】
という流れで行ないます。
作業の中で、記憶に残っているのは、授乳回数が多い新生児に、作ったミルクを1回分ずつ小分けにする空ビンのセットです。
毎日100本以上の空の哺乳瓶にフタをはめるのですが、プラスチックが固くてガラスの
哺乳瓶の口にハマりにくいものがあって、
手の指の関節が痛くて大変だったのを覚えています。
さて、作ったミルクは、それぞれの月齢に
合わせた乳首・フタをした空ビンをセットで病棟に運び、前日の哺乳瓶などを回収して
洗浄乾燥します。
使い終わった哺乳瓶の汚れが落ちやすいように、看護師さんが瓶にお湯を口切りいっぱい入れておいてくださるので、運んだ時より
重くなって返ってくるので、持ち上げるのが大変。返って来た哺乳瓶のフタを外すのも
指が痛かったです…
調乳を指導してくださった先輩は、とても
真面目で几帳面な方で、特に衛生管理に
ついては厳しく教えられました。
調乳室の保管庫はステンレス製なのですが、ステンレスにも木の木目と同じように、
目があるというのです。
横に目が走っているものを縦に拭くとキズになってしまうから、ステンレスの目を見て
拭くように言われてビックリしました。
それに先輩は、乾燥庫に洗い終わった哺乳瓶や器具を入れる場所にもこだわっていました。
乾燥庫はパススルー式になっていて、洗浄室から入れると、反対側の調乳室からも扉が開いて取り出せるようになっているので、
次の日に作業がしやすい位置に入れておくことを考えて入れるように言われていました。
1人で行う仕事だからこそ、時間内に終える
ためには『段取り・効率』は重要です。
30年も前のことですが、こと細かく覚えているものですね。ステンレスの目は今になっても気になってしまいます。
もはやトラウマですが、とにかくいつも
ピカピカで、衛生管理と正確な作業、効率、器具を大切に使うという意識の高さを教えていただきました。
余談ですが、自分に子供が生まれ、3ヶ月の頃、具合が悪くなり、その病院に1泊だけ入院したことがあるのですが、出していただいた温かいミルクを飲ませる時に、とても感慨深いものがありました…
あの頃私が作ったミルクを、「こうやって飲ませてくれたお母さんがいたんだなぁ」
「飲んでくれた子がいたんだなぁ」と、
何年かの時を経て、繋がりを感じたのでした。
新卒の頃は、調乳なんて地味だし力仕事で大変と思っていましたが、振り返ってみると、栄養士にしかできない仕事。温かいミルクを通じて、赤ちゃんの成長と、赤ちゃんを支えるお母さんのお手伝いができる貴重な経験でした。





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食べる口を作る swallow

管理栄養士の木富れい子です。 いつまでもおいしく『口から食べたい』 という思いに寄り添い、 『食べる口を作る』取り組みをしています。 加齢により、食べる機能が低下して、 おいしく楽しいはずの食事が、 “誤嚥性肺炎” “窒息”など、 命を奪う悲しいものになることもあります。 摂食・嚥下にかかわる管理栄養士として今までの経験で得たこと、日々の気付きなどを 発信して行きたいと思います。

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